7.4%。財務省が2026年9月1日に公表した四半期別法人企業統計調査で、2026年4~6月期の全産業(金融業・保険業を除く)の売上高営業利益率として示された数字である。売上高3,939,377億円に対して営業利益は289,565億円で、計算すると7.4%になる。売上高100円あたり、7円あまりが本業の利益として残った勘定だ。

では、この7.4%は高いのか低いのか。答えは、比べる相手によって変わる。筆者は営業利益率を読むとき、数字をいったん三つのプレーヤーに分け、その関係をたどってから、利益がどこへ行くのかを確かめるようにしている。本稿では、その順で営業利益率の計算式と業種別の目安、決算書の数字から素早く読む手順を整理する。

営業利益率を形づくる三つのプレーヤー

損益計算書では、売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益の順に項目が並ぶ。企業会計原則は、一会計期間に属する売上高と売上原価から売上総利益を計算し、そこから販売費及び一般管理費を控除して営業利益を表示すると定めている。つまり営業利益率を動かすのは、次の三つの項目である。

三つは別々の欄に書かれているが、独立して動くわけではない。売上高が伸びても、原価や販管費がそれ以上に膨らめば、残る割合は小さくなる。営業利益率という一つの数字は、この三者の力関係の結果として表れている。三者はそれぞれ独立した欄に記載されるが、営業利益率という一つの比率のなかで初めて関係が見える。分母である売上高だけを追っていても、率が動いた理由はわからない。

三者の関係を一本の式にする

営業利益率は、営業利益を売上高で割り、100を掛けて求める。財務総合政策研究所の解説は、営業利益を本来の営業活動から得られる利益と位置づけ、売上高営業利益率が高いほど本業の収益力が高いと説明している。式にすると次のとおりだ。

営業利益=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費
営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100

ここからは筆者がこしらえた架空の会社で、実際に数字を置いてみる。前期と当期で、三つのプレーヤーがどう動いたかを並べた。

架空の会社で営業利益率を計算する(単位:億円、率は%)
項目 前期 当期
売上高 100 110
売上原価 70 80
売上総利益 30 30
販売費及び一般管理費 22 24
営業利益 8 6
営業利益率 8.0 5.5

売上高は1割増えたのに、営業利益率は下がっている。まず、売上原価が売上高と同じ額だけ増えたため、売上総利益は前期と変わらなかった。次に、販管費が増えた分だけ営業利益が削られた。営業利益はこれらの差し引きで決まるので、率の変化を読むときに売上高の増減だけを見ていると、原価と販管費の動きを取り逃がすことになる。

業種別の目安:残る割合はここまで違う

2025年度の年次別法人企業統計調査(公表日2026年9月1日)では、売上高営業利益率は全産業5.4%、製造業5.5%、非製造業5.4%だった(本文の数値は小数第2位を四捨五入。全産業・非製造業は金融業・保険業を含まない)。製造業と非製造業の平均はほぼ並ぶが、業種まで降りると景色は一変する。

業種別の売上高営業利益率(2025年度) 業種別の売上高営業利益率(2025年度) 単位:% 0 5 10 15 卸売業・小売業 2.6 食料品 3.4 運輸業・郵便業 5.0 建設業 5.7 情報通信業 8.4 化学 9.0 サービス業 9.5 不動産業 11.5

業種別の売上高営業利益率(2025年度)(単位:%)
項目 売上高営業利益率
卸売業・小売業 2.6
食料品 3.4
運輸業・郵便業 5.0
建設業 5.7
情報通信業 8.4
化学 9.0
サービス業 9.5
不動産業 11.5
出典:令和7年度 年次別法人企業統計調査 第4表 売上高利益率の推移(財務省)

主要業種を並べると、卸売業・小売業2.6%、食料品3.4%、運輸業・郵便業5.0%、建設業5.7%、情報通信業8.4%、化学9.0%、サービス業9.5%、不動産業11.5%となる。地図で言えば、全産業平均は国全体の平均標高のようなもので、個々の土地の高さを知る手がかりにはなりにくい。卸売業・小売業のように仕入れた商品をそのまま売る業態と、不動産業のように保有資産から収益を積み上げる業態とでは、売上高に対する原価と販管費の重なり方がそもそも異なる。

営業利益率の水準は、業種ごとの売上の立ち方や、原価と販管費の構成によって異なる。そのため、全産業平均を個別企業にそのまま当てはめると読み違えやすい。目安として使うなら、同じ統計の、同じ年度、同じ業種分類の数字とそろえて並べることになる。

決算書の数字から素早く読む三つの手順

決算書を手元に置いたとき、筆者が営業利益率を確かめる手順は短い。

  1. 第一に、損益計算書から同じ会計期間の売上高と営業利益を書き出す。
  2. 営業利益を売上高で割り、100を掛ける。
  3. 前年同期または前年度の数字、同業種の数字、同程度の企業規模の数字と並べる。

三つ目の比較で迷いやすいのが、時期と規模である。法人企業統計には年次別調査と四半期別調査があり、冒頭の7.4%は四半期、前節の5.4%は年度の数字だ。期間の違う数字を同じ表に並べると、差の意味が読めなくなる。規模による違いも大きい。

資本金規模別の売上高営業利益率(2026年4~6月期、全産業)
資本金規模 売上高営業利益率(%)
1,000万円~1億円未満 3.3
1億円~10億円未満 5.4
10億円以上 11.8
全規模計 7.4

出典:財務省「四半期別法人企業統計調査(令和8年4~6月期)」(金融業・保険業を除く)

同じ四半期でも、資本金10億円以上の層と1,000万円~1億円未満の層とでは、率に大きな開きがある。中小企業の数字と比べたい場合は、産業別・従業者規模別や資本金階級別に集計された中小企業実態基本調査のような公的統計も比較の相手になる。

営業利益の先で、利益はどこへ行くのか

営業利益率が映すのは、あくまで本業の収益力である。損益計算書はその下にも続き、営業外損益、特別損益、法人税等を反映した段階で、経常利益率や純利益率という別の数字になる。営業利益率が高くても、その先の段で利益の姿が変わることはあり得るため、どの段の利益率を見ているのかを取り違えないことが出発点になる。本業の利益率と、そこから先の利益率は、同じ会社でも異なる方向を向くことがある。

筆者自身、ある企業の利益率だけを見て推奨し、営業キャッシュフローの悪化を見落としたことがある。計算は合っていたが、見ていた範囲が狭かった。それ以来、営業利益率を出したあとは、同じ期の他の書類も開いてから判断するようにしている。三つの決算書の役割分担は、工場の一年を損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書でたどった記事で整理した。

計算から比較までを3行で

営業利益率は、売上高から売上原価と販管費を差し引いた営業利益を、売上高で割って100を掛けた数字である。
業種・時期・規模によって水準は大きく動くので、並べる相手は同じ統計の同じ区分にそろえる。
率が動いた期には、売上高の増減より先に、原価と販管費のどちらが動いたのかを確かめる。